中学校道徳教科書の展示会へ行って意見を書きましょう! 【弁護士 鹿島 裕輔】

 本年4月より、公立小学校で「特別の教科・道徳」の授業が行われるようになりました。道徳が教科化されたことにより、道徳の教科書を使って授業を行い、子どもたちの内面を評価して成績をつけることになりました。道徳の教科化により、…

首都圏建設アスベスト訴訟・東京高裁(東京地裁判決控訴審)の不当結審との闘い 【弁護士 鹿島 裕輔】

1 東京高裁(東京地裁判決控訴審)の裁判長が「次回、結審」の方向を表明     平成27年7月14日、東京高裁(東京地裁判決控訴審)の第6回期日が行われました。同期日において、裁判長は「次回で結審する方向だ」と…

建設アスベスト訴訟 東京地裁に続き、福岡地裁でも国に勝訴 【弁護士 鹿島 裕輔】

2014年11月7日、福岡地裁において、2012年の横浜地裁判決、東京地裁判決に続く、建設アスベスト訴訟についての三件目の地裁判決が出ました。

福岡地裁は、東京地裁判決に続いてアスベスト被害についての国の責任を認めました。

1 本件訴訟の概要

本件訴訟は、建設現場で働く中で、建材から生じたアスベスト粉じんにさらされ、石綿肺、肺ガン、中皮腫などの深刻な病を患った建設作業従事者やその遺族が、石綿含有建材を製造販売した建材メーカーと規制を怠った国に対して損害賠償を求めた訴訟です。

2 本判決の意義

本判決は、労働大臣は、遅くとも1975(昭和50)年10月1日の時点で、防じんマスクの着用や適切な表示を義務付けるといった規制権限を行使するべきであって、それを怠ったことは違法であると認定しました。

本判決は、国の規制権限不行使が違法となる時期を1975(昭和50)年とした点で、1981(昭和56)年とした東京地裁判決の内容を前進させています。

3 本判決の問題点

⑴ 一人親方に対する国の責任を否定したこと

本判決は、東京地裁判決に続き、一人親方をはじめとする「労基法適用労働者以外の建設作業従事者」について、賠償の対象に含まれないとしました。これは、国が規制権限を行使していれば一人親方らの被害も防ぐことができたという実態を全く見ていない不当なものです。

⑵ 建材メーカーらの責任を否定したこと

本判決は、東京地裁判決に続き、被告建材メーカーらの責任を否定しました。さらに、本判決は、被告建材メーカーらに対する共同不法行為責任を認めるためには、被災者ごとに、共同不法行為者たる加害企業範囲を特定する必要があり、その範囲外の者によって被害がもたらされたものではないことの証明を要求しています。

しかし、本件の被災者は、長年にわたり多数の建設現場で就労したために、建材メーカーらが警告表示を怠ったことと相まって、被害の原因となった建材やその製造企業を特定することは不可能なのです。本判決は、このような実態から目を背け、被害者に不可能な立証を強いる者であり、極めて不当です。

⑶ 国の責任範囲を軽減したこと

本判決は、東京地裁判決に続き、国の責任範囲を3分の1と認定するとともに、曝露期間や喫煙歴による減額を認めました。この点、泉南アスベスト最高裁判決では国の責任範囲を2分の1と認め、喫煙歴等による減額を認めなかったことからすると、本判決は国の責任を軽減したものです。

4 本判決は泉南アスベスト最高裁判決に続いて、アスベスト被害についての国の責任を認めた判決となり、アスベスト被害についての国の責任は固められたといえます。

しかし、それでも国に対する関係で救済されなかった被害者がいることや建材メーカーらに対する責任を認めさせることができなかったなどの問題が残る判決であります。労働者と同様に就労して石綿関連疾患を患った一人親方が救済されるべきであること、危険な石綿含有建材を流通させて被害を発生させ、多くの利益を得た被告建材メーカーらが責任を負うべきことは明らかです。

我々は、今後も国と建材メーカーらに対する責任追及を続け、アスベスト被害者の全面救済とアスベスト被害根絶を果たすために尽力する次第であります。

以上

国の責任を認めた泉南アスベスト最高裁判決 【弁護士 鹿島 裕輔】

2014年10月9日、最高裁は司法の最終判断としてアスベスト被害について国の責任を明確に認める判断を示しました。この最高裁の判断は、首都圏建設アスベスト訴訟をはじめとする全国6か所で闘われている建設アスベスト訴訟の勝利に向けて、極めて強い追い風になります。

1 泉南アスベスト訴訟の概要

泉南アスベスト訴訟とは、大阪府泉南市と阪南市(一部、岸和田市)のアスベスト紡織工場で働いていた元従業員やその家族、工場周辺に住んでいた住民、工場に出入りしていた運送業者の従業員が、アスベスト関連疾患を発症した責任が国にあるとして損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した事件です。

2 泉南アスベスト最高裁判決の意義

⑴ 最高裁が初めてアスベスト被害について国の責任を認めたこと

まず、何よりも泉南アスベスト最高裁判決の最も大きな意義は、最高裁が初めてアスベスト被害について国の責任を明確に認めたことです。これまで、地裁、高裁で国の責任を認めた判決はいくつかありましたが、最高裁が国の責任を認めたのは泉南アスベスト判決が初めてです。

そして、最高裁は、産業の発展ではなく、国民の生命・健康こそが至高の価値であり、国は生命・健康被害を防止するために、適時にかつ適切に規制権限を行使する義務があったことを明確に認めました。

具体的には、国は、石綿原料から糸、布を作る過程で石綿粉じんが大量に発生する石綿紡織業における石綿被害の深刻さを知りながら、産業発展を優先し、局所排気装置(有毒ガスや粉塵などが室内に拡散する前に、発生源のそばに局所的な吸引気流を設けて外に排気する装置)の設置の義務付けという有効な対策を怠った国の責任を断罪しました。

⑵ アスベスト被害について国に重い責任が認められたこと

最高裁は、国の責任の範囲が全損害の2分の1であるとした第2陣高裁判決を是認しました。首都圏建設アスベスト第1陣東京地裁判決において、国の責任が3分の1であったことからすると、泉南アスベスト最高裁判決は国の責任の範囲を重くみる先例となるでしょう。

さらに、基準慰謝料額を増額するとともに、喫煙歴等による慰謝料の減額事由を認めなかった点で国に重い責任が認められたといえます。

⑶ 国賠訴訟の保護対象が広がったこと

最高裁は、第2陣高裁判決が石綿工場の出入り業者について保護対象になるかについて、「石綿工場の労働者の他、職務上、石綿工場に一定期間滞在することが必要であることにより工場の粉じん被害を受ける可能性のある者も保護対象に含まれる」とした判断を是認しました。この判断は、国家賠償における救済対象を広げるものであるとともに、建設アスベスト訴訟の一人親方等の判断にも影響すると思われます。

3 泉南アスベスト最高裁判決の問題点

⑴ 審理対象からの排除

本件最高裁判決には、近隣の曝露者、家族曝露者について最高裁における審理の対象から外したという問題があります。これは、泉南地域では零細の石綿紡織工場が集中立地し、事業者も労働者も家族も石綿粉じんにまみれて働き、工場外に石綿粉じんが大量に飛散していた実態を見ないものであって、極めて問題です。

⑵ 防じんマスクの使用及び特別安全教育の実施を事業者に義務付けなかったことの違法を認めなかったこと

最高裁は、国が防じんマスクの使用及び特別安全教育の実施を事業者に義務付けなかったことの違法を認めませんでした。この点について、最高裁は「石綿工場における粉じん対策としては、局所排気装置等による粉じんの発散防止装置が第一次的な方策であり、防じんマスクは補助的手段にすぎない」と判示しています。

しかし、この部分は、建設アスベスト訴訟に直接の影響を及ぼすものではないと考えられます。なぜなら、建設作業では、局所排気装置による効果的な粉じん対策が困難であり、防じんマスクの使用が有効な防じん対策であったからです。そのため、かかる規制の不備は、本件最高裁判決の立場からしても違法となり得ます。

4 以上の泉南最高裁判決を武器に、今後、建設アスベスト問題における大きな世論を構築し、全面解決を図っていく次第であります。

                                                               以上

建設アスベスト訴訟 東京地裁に続き、福岡地裁でも国に勝訴 【弁護士 鹿島 裕輔】

  2014年11月7日、福岡地裁において、2012年の横浜地裁判決、東京地裁判決に続く、建設アスベスト訴訟についての三件目の地裁判決が出ました。  福岡地裁は、東京地裁判決に続いてアスベスト被害についての国の責任を認め…

鹿島裕輔弁護士が入所しました

このたび,当事務所は,昨年12月に司法修習を終了した鹿島裕輔弁護士を迎えました。

鹿島弁護士は,高校時代,野球部に所属しキャッチャーとしてチームのまとめ役的存在でした。その頃培われた周囲の状況を的確,冷静に判断し対応策を考えるという能力は弁護士としての今後の業務にも活かされると思います。

また,鹿島弁護士は,憲法改悪に向けた昨今の動きに大きな危惧を抱いています。当事務所の設立理念に基づき平和憲法擁護に向けた活動に積極的に取り組んでくれるものと期待しています。

一見物静かに見える鹿島弁護士ではありますが,内に秘めた情熱は非常に大きなものです。その情熱により皆様のご期待に応える弁護士となることを所員一同確信しております。

私ども同様,一層のご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い致します。

東京東部法律事務所 所員一同

昨年12月に入所いたしました、弁護士の鹿島裕輔と申します。昨年は、憲法96条改正、集団的自衛権の解釈改憲、秘密保護法など私たち国民を巻き込む憲法論争がいくつか行われました。このような現状において、私たちは正しい政治判断をするためにも憲法について一緒に学び、考える必要があると思います。私は、弁護士として憲法の価値を実現していくためにも、みなさまと一緒に憲法について学び、考えていくことで、憲法を守っていきます。

東京東部法律事務所の一員として、みなさまから信頼され、頼りになる弁護士となれるよう精進して参りますので、よろしくお願い致します。

弁護士 鹿島裕輔