憲法出前講座のご案内 【弁護士 鹿島 裕輔】

 平成27年9月19日、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法制が成立し、いよいよ憲法改正問題が現実化してきました。憲法改正の際には、改正の是非を問う国民投票が行われることになりますが、この国民投票は満18歳から投票権が認められています。また、平成27年6月、選挙に関する法律である公職選挙法の一部を改正する法律が成立しました。この改正により、これまでは満20歳にならないと公職の選挙の選挙権は認められませんでしたが、満18歳から選挙権が認められるようになりました。この改正法は、平成28年6月19日から施行されますので、今度の参議院議員選挙からは高校生にも選挙権が認められることになります。

 このように、憲法改正の是非を問う国民投票や公職の選挙において、高校生が投票権を持つことになります。高校生のみなさんの中には、いきなり投票権を与えられて、「憲法改正について賛成か反対か投票しなさい」「選挙に行って自分が支持する候補者や政党に投票しなさい」などと言われてもどうしていいかわからないという人も多いかもしれません。憲法改正について考えるためには、そもそも憲法とはどういうものなのか、憲法が私たちの社会でどのような役割を果たしているのか等を理解していなければいけません。また、選挙において投票する際は、各候補者や政党が掲げる政策について知っておく必要がありますが、安保関連法の問題や税と社会保障の問題、男女平等の問題(夫婦別姓問題等)など政策に掲げられる社会問題の根底は憲法に関連する問題でありますので、やはり憲法について理解していないと各社会問題の問題点が把握できず、政策の是非を判断することもできません。そのため、高校生のみなさんは投票権を持つ前に憲法についてしっかりと学んでおく必要があります。

 そして、小学生や中学生のみなさんも数年後には投票権が認められることになりますので、今のうちに憲法のことについて学んでおく必要があるかと思います。

 そこで、私が所属している東京弁護士会では、「憲法出前講座」というものを行っております。この「憲法出前講座」というのは、私たち弁護士が小学校・中学校・高校に直接出向いて行き、憲法についての授業を行うというものです。憲法の授業というと難しそうな印象を受けるかと思いますが、そこは私たち弁護士が生徒のみなさんにとってわかりやすい内容にして、憲法について理解してもらえるよう工夫した授業を行っております。授業は主に、実際に存在した事件(判例)を題材に行います。授業で扱う判例については、こちらの方でいろいろ取り揃えておりますので、その中からみなさんに選んでいただくことになります。現在扱っている判例としては、ハンセン病熊本地裁判決、イラク訴訟名古屋高裁判決、朝日訴訟判決、非嫡出子相続分判決などがあります。授業ではこれらの判例を題材として、「憲法ってなんだろう?」「憲法と法律の違いは?」「憲法9条って何を規定しているの?」といったことを生徒のみなさんと一緒に考えていきます。小学生のみなさんには、もっとより身近なことを題材として、憲法について考えてもらえるようにしております。

 授業の時間配分は1コマ、2コマ等、ご要望に応じます。また、費用は交通費等を含めて無料です。

 憲法について、みんなで考え、語り合うことは生徒のみなさんにとって貴重な経験になると思いますので、是非、多くの小学生、中学生、高校生のみなさんに授業を受けていただきたいと思います。

 ご希望の方は、開催希望日の2ヶ月前までに、東京弁護士会のホームページより申込用紙をダウンロード・印刷し、必要事項をご記入のうえ、下記送付先までFAXでお送りください。 後ほど、東京弁護士会の方からご連絡をさせていただきます。もしくは、以下の問い合わせ先までご連絡ください。

 

 東京弁護士会(広報課内) 法教育センター担当

 TEL 03-3581-2251 FAX 03-3581-0865