1. カネボウとの交渉経緯
カネボウ美白化粧品白斑被害救済東京弁護団では、平成26年7月4日にカネボウへ交渉の申入れを行いました。
これに対し、カネボウからは、内金の支払いが提示されましたが(ただし、一部の被害者については、化粧品の購入履歴が確認できないなどの理由により拒絶)、内金算定の根拠は何ら示されておらず、弁護団が把握している被害者の被害状況と提示額が必ずしも一致しない例も多々見られました。
そこで、カネボウに対し、内金や最終の解決金の算定根拠を示すことを何度も求めてきましたが、カネボウからは、被害者により症状が様々であり、個別具体的な事情に基づき補償内容を決めざるを得ないなどとして、「詳細な基準の開示はご容赦いただきたく存じます」との回答があるのみでした。
このように、カネボウは、被害者のどのような症状についてどの程度の支払いを行う考えなのか、賠償の対象となる症状をどのように認定するのか、最終的な解決についてどのように考えているのか(支払い時期、後遺障害判定の時期、支払対象となる損害の種類、賠償金額の算定基準など)について、考えを一切開示しない状態でした。
また、カネボウは、白斑症状が顔に大きく出ている被害者から順に後遺症慰謝料相当の補償をすると言ってはいますが、各被害者の方がいつまで待たなければならないかについては明らかではありません。
2. 訴訟の提起
上記のような交渉経過から、弁護団においては、もはやカネボウとの交渉による早期の最終的解決を図ることは非常に困難と判断し、平成27年4月17日、カネボウ化粧品を被告として、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。
この訴訟は、カネボウ化粧品が製造販売した美白化粧品に配合されているロドデノールにはメラニン細胞に毒性があるため、白斑等が発生する危険性があり、化粧品として有すべき安全性を欠いた欠陥があり、その欠陥に起因して白斑等の皮膚障害が発生し、損害を被ったことを理由として、製造物責任法に基づく損害賠償を請求するものです。
このときの訴訟で原告となられた被害者は27名、その後平成27年7月24日に提起した第二次訴訟では更に13名の被害者が加わり、合計40名の方が原告となっています。
原告となられた方々の請求金額は、それぞれの白斑等の皮膚障害が、その部位、大きさ、コントラストに差があるため、賠償請求する金額も異なり、500万円未満から2000万円以上まで幅がありますが、その平均額は1772万円です。
第一回の口頭弁論期日は、平成27年9月24日午前11時から東京地方裁判所522号法廷で予定されています。
弁護団としては、今後、訴訟の場において原告の方々の被害回復を図っていくとともに、カネボウの社会的責任をも追及していくべく活動を広げていく考えです。