残業時間を立証する客観証拠(タイムカード等)が手元になかったが相当額の残業代を回収 【弁護士 高木】

【相談内容】

Aさんは,トラックの配送業務に携わっておりましたが,会社からは一切残業代が支払われておりませんでした。会社に残業代の支払いを求めても,会社は「お前に支払っている日給は残業代込みだ」と言って取り合ってくれない,ということで相談にみえました。

【解決内容】

Aさんの会社は,タイムカード等の勤怠管理をしてなかったことから,労働時間の立証に工夫が必要でした。Aさんは,勤務日や配送ルートを手帳に残していたことから,その手帳を証拠として提出し,手帳を元に1日あたりの労働時間を推定した上,時効にかかっていない2年分の残業代の累計額を算出し,提訴しました。

こちらの請求した額はあくまで推定計算に基づくものでしたが,裁判官は理解を示してくれ,裁判所主導のもと請求額の約80%の金額(Aさんも納得できる金額でした)で裁判上の和解を成立させることができました。

【コメント】


東京弁護士会
高木 一昌
タカギ カズマサ
Takagi Kazumasa
裁判において会社側は,「ウチは固定残業代制度を導入している」とか,「Aさんとの関係は業務委託契約であって雇用契約ではないから,そもそも残業代請求権は発生しない」など色々な反論を試みてきましたので,それへの再反論もしっかりと行いました。その結果,ほぼ原告の主張を前提とする和解案を裁判所に出して貰うことができました。