本日(2013年12月12日)、東京地方裁判所民事38部(裁判長谷口豊)は、江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟及び執行停止申立事件に対し、土地区画整理事業の事業計画決定を取り消す訴えを認めず、また同時に原告らが申し立てていた同事業計画決定の執行停止申立てについても、これを認めず不当決定を言い渡した。
本件訴訟は、江戸川区北小岩地域に居住する地権者9名(訴訟提起時11名)が原告となり、江戸川区を被告として、2011年11月11日、スーパー堤防事業を前提とする「東京都都市計画事業北小岩一丁目東部地区区画整理事業」(以下、「本件事業」という。)が違法であるとして事業計画決定の取消を求めて提訴した裁判である。また、2013年7月31日には、事業計画の執行の停止を求める申立ても行っている。
本日下された判決は、このいずれも認めないものである。本件事業はスーパー堤防を実施するために計画され、スーパー堤防を実施する費用が支出されなくなったことにより中止するなど、明らかにスーパー堤防がなければ実施できないというものであった。それにも関わらず、裁判所は本件事業はスーパー堤防事業が本件都市計画及び本件事業計画の内容になっていないとして、スーパー堤防事業の当否について全く判断しておらず、不当である。
またスーパー堤防事業を除いたとしても、盛土をするという事業であるがゆえに、盛土の危険性、住民が長期間にわたって移転を強いられるなどの負担を裁判において主張してきたが、裁判所は盛土整備の必要性については、他の手段で十分に目的が達成できるにもかかわらず、その点を十分に判断せずに盛土整備が必要であるとした被告江戸川区の判断を追認しており、著しく適切でない。
さらに、裁判所は、長期間にわたる移転の負担については、精神的・身体的な負担は無視できないものがあるとしながら、被告江戸川区の先行買収に応じ本件地区外に転出することによって負担は回避できることなどを挙げ、2度の移転による住民の負担が著しく妥当性を欠くと断ずることはできないとしている。しかし、これは反対住民に対し、移転の負担を避けたいのであれば、先行買収に応じればよいとも読めるような判断であり、これまで住民が培ってきた地域コミュニティ、住み慣れた土地を離れるという負担を全く無視した不当な判断である。
原告団・弁護団として、このような不当判決は到底是認することはできない。